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【ソムメモ】チーズとワインを楽しむ5つのポイント

チーズとワインを楽しむ際に知っておくべき5つのコト

こんちには!ソムリエのAKIHOです。
本日のテーマは「チーズとワインを楽しむ際に知っておくべき5つのコト」
こちらについて解説していきたいと思います。

「ワインとチーズをオシャレに楽しみたいけど、相性がよくわからない!」
「チーズの種類が多すぎて、何が自分の好みかわかりません…」
「簡単にできるワインとチーズのペアリングを知りたい!」

スーパーや百貨店へ出かけると、たくさんの種類のチーズが並んであります。
形も色も大きさも様々なチーズですが、どのチーズがどんな味わいで、どんな料理やワインと相性がいいのか、少し難しく感じる方も多いのではないのでしょうか?

ここでは、チーズとワインを楽しむ際に知っておくべきコトを5つに絞って解説します。
これさえ抑えておけば、ワインやチーズを選ぶ際に困ることはなくなるでしょう。

早速5つのポイントを見ていきましょう。

Ⅰ.チーズの原料である3種類のミルク
Ⅱ.チーズの製法の違いによるタイプ
Ⅲ.チーズとワインが合う理由
Ⅳ.チーズとワインの合わせ方
Ⅴ.代表的なチーズとワインのペアリング

以上の内容で解説していきます。

Ⅰ.チーズの原料である3種類のミルク

チーズと一言にいってもその種類は膨大です。ワインと同様に、地域ごとに様々なチーズがつくられており、世界中では約1000種類以上あるといわれています。

「そんなに多い中から自分の好みなんて見つけられないよ〜!」

と思うかもしれませが、ポイントを抑えることで、チーズ選びというのは比較的簡単に行うことができます。まずはチーズの味わいに最も大きく影響する原料=ミルクを知りましょう。ワインでいうところのブドウ品種です。ワイン用のブドウは無数にありますが、チーズは主に3種類のミルクから作られるのでそれぞれどういった特徴があるのか、ここでしっかり抑えておきましょう。

【乳種】
読んで字の如く、チーズの原料となるミルクの種類です。「牛」「山羊=シェーヴル」「羊」この3つが主にチーズの原料となるミルクの種類です。

「牛乳チーズの特徴」
多くの代表的なチーズは牛のミルクから作られており、最もポピュラーな乳種と言えます。なぜ牛が一番バリエーションが豊富なのかというと、牛は山羊や羊に比べて搾乳量が10倍以上多く取れるので、必然とチーズの種類も多くなるんです。また、牛の種類によっても出来上がるチーズの味わいは変化するので、一概に牛のチーズはこう!と決めるのは難しいですが、比較的味わいにクセが少なく、クリーミーで親しみやすいチーズが多いです。

ちなみに、南イタリアを代表するモッツァレラチーズは水牛のミルクを原料としていて、牛とは違い搾乳量が非常に少なく、飼育も難しいので、生産量はあまり多くはありません。一般的に販売されているものには水牛ではなく牛から作られているものもありますね。

「山羊乳=シェーヴルチーズの特徴」
山羊のミルクから作られるチーズはシェーヴルチーズといい、出来上がるチーズは小ぶりなものがほとんどです。これはミルクの成分が牛や羊と異なり、大きく凝固することができません。そのため食感もモロモロとした独特なものになります。味わいもやや酸味の効いたものが多く、クセがあります。その分栄養価は高く、消化吸収もスムーズに行われるのが山羊乳=シェーヴルの特徴です。

「羊乳チーズの特徴」
紀元前5500年前と最も古くから食されてきたのが羊のミルクを用いたチーズです。牛や山羊と比べて、タンパク質や脂肪分、ビタミンやミネラルが豊富で、できあがるチーズはまろやかでほんのりと甘い印象があるものが多いです。今でも各地域を代表するチーズが作られており歴史の長いものが多く、味わいに個性を感じるものがほとんどです。

Ⅱ.チーズの製法の違いによるタイプ

【製法】
ワインでいうところの醸造方法になります。原料のミルクをどういった製法を用いて仕上げるかでチーズのスタイルが決まります。製法の分類は厳密にいうと9つ(*)あるのですが、ここでは流通量も多く手に入りやすくポピュラーなチーズの製法にフォーカスして解説します。

「ハード・セミハードタイプの特徴」
ハード=加熱圧搾、セミハード=非加熱圧搾と呼ばれる製法で、圧搾することで水分含有量が減り引き締まった食感になります。また、水分が少ないため長期熟成することができ、その味わいはさらに複雑性を増します。ハード・セミハードタイプは何と言っても熟成した後の味わいが格別です。長いものだと36ヶ月ほど熟成を経るものもあり、旨味の塊を食べているような感じです。

代表的なハードチーズ:コンテ、ボーフォール、パルミジャーノ・レッジャーノ、ミモレット

「白カビタイプ」
チーズの表面に白カビを生やし、このカビの働きによって徐々に熟成が進み、チョーク状の食感からソフトで柔らかい食感に変化していきます。クリーミーでまろやかなな食感に程よく効いた塩味が白カビタイプの特徴です。熟成が進むと白色が茶褐色系に変化し、ピリリとした味わいがアクセントになりさらに複雑性が増します。ちなみにフランス語では白カビとは言わず、表皮に白い花が咲いたと表現します。

代表的な白カビチーズ:カマンベール ド ノルマンディ、サンタンドレ、ブリ ド モー

「青カビタイプ」
白カビタイプがチーズの表面にカビを生やすのに対し、青カビはチーズの内部にカビを生やして熟成させます。青カビ菌は酸素を好むので、チーズの内部に空洞をつくりながら熟成をさせます。そのため出来上がるチーズはもろく崩れやすくなります。強い塩分濃度でも繁殖が可能なため、他のタイプのチーズよりも塩味がしっかりあり、青カビ独特のピリっとしたシャープで刺激的な風味が強くなります。最もクセの強いタイプのチーズです。

代表的な青カビチーズ:ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、フルムダンベール

「ウォッシュタイプ」
ウォッシュ=洗うという意味で、チーズの表面を塩水やワインやブランデーなどのお酒で洗いながら熟成をさせるチーズです。中世の時代、藁の上で熟成をさせているチーズに繁殖してきた雑菌を洗い流していた所、藁に付着していたリネンス菌という菌がチーズに入り込み独特の風味をもたらしたことからこのタイプが出来上がりました。洗う素材や洗う回数により出来上がるチーズの特徴も異なり、塩水よりもお酒の方が風味も強くなり、また洗う回数も多い方が独特の粘り気が強いチーズになります。

代表的なウォッシュチーズ:エポワス、モンドール、ポンレヴェック

「シェーヴルタイプ」
上記で説明した山羊のミルクで作られたタイプで、フランスの南仏やロワールが名産地として知られています。たんぱく質や脂肪球が小さくさらさらしたミルクのため、出来上がるチーズもたんぱくな味になります。酸味が強いため、木炭の粉を周りにまぶし酸味を和らげたものもあります。

代表的なシェーヴルチーズ:ヴァランセ、シェル シュール シェール、ピコドン


(*)チーズの製法9分類:フレッシュ、ソフト、白カビ、青カビ、ウォッシュ、シェーヴル、セミハード、ハード、パスタフィラータ

Ⅲ.チーズとワインが合う理由

そもそも、なぜワインとチーズは合うのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

「合うんだから合う!」

といってしまえば、簡単なのですが。そう言ってしまってはソムリエとして怒られそうなので、少し真面目に解説したいと思います。

ここで誤解をしないで頂きたいのですが、全てのワインとチーズの相性が良いわけではありません。ワインとチーズの組み合わせで相性のよいものもあるということで、決して一緒に味合わないほうがいいものもあります・・・またチーズ単体でワインと合わすということが難しいということもあります。白ごはんにとろっとした卵をかけると美味しいですが、醤油などの調味料がないとあまり美味しいとは感じませんよね。チーズも一皿の料理と同じように捉えてあげることで、ワインとの素晴らしいペアリングを楽しめるようになります。
【ソムメモ】ワインのペアリングとは?で、ワインと料理を合わす際のポイントとして3つの「かく」が大切とお話ししました。チーズに関しても同様で3つの「かく」の中でも「味覚」と「触覚」が重要なポイントです。

「味覚」で合わすというのは、香りの共通要素を見つて、同じ香りをもつワインとチーズを合わすのか、味わいでお互いに欠けている所を見つけて、補完する形で合わすのかです。チーズはワインと同じく発酵、熟成をするものなので、その香り成分は非常に多く複雑で、ハーブ系、ナッツ系、ジビエ系、スパイス系といった香りを感じます。ワインにも同系統の香りがあるので、ここを合わせることで相性は良くなります。また、味わいに関しては、先に説明した通り、チーズには「塩味」「旨味」「酸味」に特徴を持つものが多々あります。ワインにおいては「酸味」を軸としつつ、「苦味」「甘味」も存在します。この五味のバランスを整えるのがワインとチーズとでは非常にやりやすく、口に含んだ時にバランスが良く相性が良いと感じるというわけです。

さらに、「触覚」について、チーズにはクリーミーでねっとりしたものから、さっぱりした質感のものまで様々あります。ワインの質感は「酸」「糖分」「タンニン」「アルコール」また「温度」によって左右されます。ねっとりした質感のチーズにはリフレッシュさせる酸が効いたワインが良いですし、さっぱりした質感には渋みのあるワインを合わせることで充実した味わいになります。

このように、ワインにしてもチーズにしても、合わせる要素の幅が広く、様々なアプローチでペアリングを行うことができるので、総じて相性が良いと言われるというわけです。

Ⅳ.チーズとワインの合わせ方

では実際に、チーズを購入する際、失敗しないワインに合ったチーズを選ぶポイントをいくつかご紹介しようと思います。すべてのポイントを同時に抑えるというのはご家庭では難しいかもしれませんが、知っておくことでアレンジの幅が広がるのは間違い無いありません。

合わせるポイントは下記の5つ。
①ワインとチーズのタイプの定番の組み合わせを抑える
②産地を揃える
③熟成度を揃える
④料理として相性を考える
⑤NGな組み合わせを知っておく

『①ワインとチーズのタイプの定番の組み合わせを抑える』
ワインのタイプ別おすすめチーズでみたように、「乳種」と「製法」によって相性の良いワインというのは大体決まってきます。ここをしっかり抑えることで、大きく失敗しないチーズ選びをすることができます。代表的な組み合わせは以下の通りです。

ハードタイプ:コクのある白ワイン、タンニンのあるリッチな赤ワイン
白カビタイプ:スパークリングワイン、タンニンの穏やかなライトな赤ワイン
青カビタイプ:果実味の強い赤ワイン、極甘口の貴腐ワイン
シェーヴルタイプ:爽やかな白ワイン、酸味と果実味のある赤ワイン
ウォッシュタイプ:熟成した香り豊かな白ワインや赤ワイン

『②産地を揃える』
産地を揃えるということは、長い年月の間で自然と培われた文化や風習をそのまま感じるということです。理屈で語るのは難しいですが、日本でも地元の食材と地酒というのは語らずとも美味しいと感じますよね。特にフランス産のチーズは地元のワインと長い間楽しまれてきたわけですから、同じ風土や文化で育ったものは必然と相性がよくなります。

『③熟成度を揃える』
ワインとチーズはどちらも熟成をすることでその味わいや風味は変化していきます。この熟成の度合いを揃えることで、香りの調和や味わいのバランスがとり易くなります。ただ、ワインとチーズとでは熟成のスピードも変化の具合も異なるので特にハードタイプでは下記の基準を参考に選んでみてください。

フレッシュなワイン(1~3年程度):〜6ヶ月熟成のチーズ
落ち着いてきて熟成段階のワイン(4~6年程度):12ヶ月~24ヶ月熟成のチーズ
熟成感をしっかり感じるワイン(7年以上):36ヶ月以上熟成のチーズ

また白カビやウォッシュタイプのチーズはハードタイプのように数ヶ月も熟成をするということはありませんが、目安として表面の色が白色から茶色のトーンやオレンジのトーンが強くなるにつれ熟成度も高くなっていくので、色合いをポイントに選んでみてください。

『④料理として相性を考える』
チーズは単体としても完成度の高い食べ物ですが、料理の中で用いることでさらに奥深い味わいになり、楽しみ方も膨らみます。ワインとのペアリングにおいて重要な3つの「かく」を意識してチーズ選びをすることで、より上質なペアリングを楽しむことができます。難易度としては高めですが、上記①~③を抑えていれば、ほぼ失敗することはないので、自由な発想でトライしてみてください。

『⑤NGな組み合わせを知っておく』
これは、①の相性の良いタイプの組み合わせと反対のことですが、良い相性があれは、よく無い相性ももちろんあります。最後にこのポイントを抑えておくことで、絶対に失敗しないワインとチーズの組み合わせを行うことができます。

クセの強い青カビやウォッシュタイプ:繊細な華やかな赤ワイン
▶︎ワインの香りをチーズがマスキングしてしまい、香りの同調がとれません。
ミルクの風味を感じるフレッシュタイプ:熟成感のあるコクありワイン
▶︎チーズのフレッシュさが際立ち青臭く感じます。
ピリっと刺激のある白カビタイプ:フレッシュで爽快な白ワイン
▶︎白カビの熟成した刺激がさらに増大し辛味を感じます。またチーズの熟成香によりワインのフレッシュな香りが青く感じます。

Ⅴ.代表的なチーズとワインのペアリング

無数にあるワインとチーズですが、個人的におすすめのワインとチーズの組み合わせをここではご紹介させて頂きます。これもこのワインとチーズじゃないとダメ!というわけではないので、同じワインやチーズがなくても「乳種」や「製法」を参考に似たようなタイプの組み合わせをぜひ試してみてください。

<キャンティ クラシコ * パルミジャーノ・レッジャーノ>
熟成してアミノ酸が結晶化したようなパルミジャーノ・レッジャーノをスライスではなくゴロっと塊にカットしたものを、熟成感がでてきたキャンティ・クラシコ(サンジョベーゼ種)をすこし高めの22-24度位で合わせます。チーズの旨味の爆弾のような味わいと塩味、ワインの適度な酸味とナッツのような熟成香が絶妙なペアリングを生みます。ワインとチーズどちらも比較的購入し易く、コストパフォーマンス最高のペアリングです。チーズ単体で十分に美味しいですし、少し表面を炙るとさらに違ったニュアンスのペアリングを簡単に楽しむことができます。コツは冷やして美味しいキャンティですが、すこし高めの温度にして香りに広がりを持たせることです。

おすすめのキャンティクラシコ銘柄
『キャンティ クラシコ・カステッロ フォンテルトーリ』
『キャンティ クラシコ・ヴィラ アンティノリ』
『キャンティ クラシコ・ブロリオ』

<シャンパーニュ * シャウルス>
シャウルスは白カビの中でもクリームの乳脂肪分が豊富で常温でしばらく置いておくとトロトロとしてきてきます。表皮のピリリとした質感と中身のまろやかなクリームをあわせてブルスケッタのような香ばしい硬いパン生地の上にのせて少し炙りブラックペッパーと乾燥パセリをふりかけます。これにシャルドネを主体として熟成をしたシャンパーニュを合わせます。厚みがあり、熟成によりキノコやローストナッツの香りがでてきたシャンパーニュは、泡の刺激がチーズの外皮とマッチし、クリームのなめらかなタッチがシャンパーニュのボディと同調し、さらにアフター抜ける熟成香が香ばしいパンと完璧にマッチします。細身のフルートタイプのグラスではなく、大振りのグラスに注ぎ、香りと味わいのボリュームを引き立てるのがポイントです。

おすすめのシャンパーニュ銘柄
『シャルル エドシック・ブリュット リゼルヴ』
『アンリオ・ブラン ド ブラン』
『デュヴァル ルロワ・フルール ド シャンパーニュ』

<ソーテルヌ * ロックフォール>
羊のミルクから作られた世界三大ブルーチーズのひとつであるロックフォールは、まろやかな質感に青カビ独特の強い塩味とフレーバーを持ち合わせ、余韻にほのかに甘やかな印象を残します。このチーズに砕いたクルミとコンポートにした洋梨や黄桃を添えて、パンデピス(スパイスを入れたパン)があれば付け合わせます。これに世界三大甘口ワインであるフランス・ボルドー地方の極上甘口ワイン・ソーテルヌを合わせます。アカシアの蜂蜜のような爽やかな香りや金柑のコンポートのような華やかな香りがあり、味わいにはねっとりと豊かな甘味と同時に口中を潤すリフレッシュな酸味が混在しています。チーズとワインの質感は完璧に揃い、チーズの塩味とワインの甘味がバランスが整い、酸味がアクセントになります。ペアリングの中でも完成度が高く、贅沢なペアリングです。ポイントはワインをしっかり冷やして、甘味にシャープさを持たすことです。

おすすめのソーテルヌ銘柄
『シャトー ギロー』
『シャトー スデュイロー』
『シャトー ドワジー ヴェドリーヌ』

まとめ

ここまでお読み頂きありがとうございます。今回はワインとチーズのペアリングについてみてきましたが、いかがだったでしょうか?
「ちょっと難しいかな〜…」
「意外と簡単かも?」
「このペアリング面白そう!」
など色々感じたかもしれませんが、まずは実際に自身で試してみるということが一番大切だと思います。今回ご紹介したペアリングはあくまで筆者なりの考えなので、試してみると自分の味覚とあわないこともあるかと思います。それもそのはずで、人それぞれ味覚含め感覚というのは千差万別で好みもその時のコンディションで変わったりもします。こればっかりはやってみないとわからないというのが本当のところですが、お読みいただいたのをきっかけに、ワインとチーズのペアリングの楽しみを知り、是非色々試して頂き、自分なりのマイベストペアリングを見つけていただけたら幸いです。

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