SOMMEMO ソムリエのメモ

ソムリエのメモ ソムリエのメモ

【ソムメモ】品種探求シリーズ#18『ソーヴィニョン ブラン その3(後編)』楽しみ方とおすすめワイン【ソムリエ解説】

【ソムメモ】品種探求シリーズ#18『ソーヴィニョン ブラン その3(後編)』楽しみ方とおすすめワイン【ソムリエ解説】

最終更新日: 2025年1月24日

ようこそ、品種探求シリーズへ!

ソーヴィニョン・ブランは、そのフレッシュな酸味と個性的な香りで世界中のワイン愛好家に愛される品種です。本シリーズの最終回では、ソーヴィニョン・ブランをもっと楽しむための基本的な知識から、料理とのペアリング、さらに筆者おすすめの5本のワインをご紹介します。

初心者の方には、ソーヴィニョン・ブランの飲みやすさと親しみやすい香りの特徴を楽しんでいただける内容に。上級者の方にも、ワイン選びの新たなヒントやペアリングの工夫をお届けできるよう、専門的な視点も盛り込みました。

この記事を読めば、ソーヴィニョン・ブランの楽しみ方がさらに広がり、この品種への愛着が深まるはずです。それでは、ソーヴィニョン・ブランの魅力に触れる旅に出発しましょう!

内容概要

§1.楽しみ方の基本

・適切なサーブ温度(辛口 vs デザートワインの場合)
・グラスの選び方(香りを引き立てる形状の選定)
・ソーヴィニョン・ブランの熟成ポテンシャル

§2.ソーヴィニョン・ブランと料理のペアリング

・ペアリングの基本ルール
・おすすめの料理例
・避けたい料理例

§3.おすすめのソーヴィニョン・ブラン❺選

・ミッシェル トマ・サンセール
(フランス・ロワール)

・レ ザルム ド ラグランジュ
(フランス・ボルドー)

・ブランク キャンバス ・ソーヴィニョンブラン ホールドアウェイ ヴィンヤード
(ニュージーランド・マールボロ)

・フォリウム・ソーヴィニョン ブラン リザーヴ
(ニュージーランド・マールボロ)

・ケンゾー エステート・アサツユ
(アメリカ・カリフォルニア)

§4.まとめ

§1.楽しみ方の基本

ソーヴィニョン・ブランは、柑橘系の爽やかなアロマと生き生きとした酸味で、初心者から上級者まで幅広いワイン愛好家に親しまれています。このセクションでは、ソーヴィニョン・ブランをより一層楽しむために知っておきたい基本的なポイントを詳しくご紹介します。


適切なサーブ温度

ワインを最適な状態で楽しむためには、サーブ温度が非常に重要です。ソーヴィニョン・ブランはそのスタイルによって、適切なサーブ温度が異なります。以下に代表的な例を挙げます。

辛口ソーヴィニョン・ブラン
一般的な辛口のソーヴィニョン・ブランは、8~12℃が理想的です。この温度帯では、果実味と酸味がバランスよく感じられ、柑橘系の香りや青草のニュアンスが引き立ちます。冷蔵庫で約2~3時間冷やした後に提供すると最適です。ボルドーやニュージーランドの辛口スタイルに最も適した温度設定です。

デザートワイン(貴腐ワイン・遅摘み)
デザートワインの場合も、一般的には辛口ワインと同様に冷やして飲むのが理想的です。8~10℃程度が最適で、冷たい温度が甘さを引き締め、酸味とのバランスを整えます。ただし、より濃厚な味わいを楽しみたい場合は10~12℃程度まで温度を上げてもよいです。

比較:シャルドネとの違い
シャルドネの場合、オーク樽熟成されたリッチなタイプでは温度が12~16℃と高めが推奨されます。一方、ソーヴィニョン・ブランは冷やすことでその爽快な酸味が際立つため、より低温でのサーブが一般的です。


グラスの選び方

ワインの香りと味わいを最大限に楽しむには、適切なグラス選びが欠かせません。ソーヴィニョン・ブランに特に適したグラスの形状と、具体的なおすすめをご紹介します。

チューリップ型グラスの利点
グラスのボウル部分が丸みを帯び、口がやや細い「チューリップ型」のグラスは、香りを閉じ込めつつ、飲む際に鼻腔へ豊かなアロマを運びます。特に柑橘系や青草のような繊細な香りを引き立てる効果があります。

おすすめグラス1: リーデル ヴェリタス ソーヴィニョンブラン

特徴: このグラスは、ソーヴィニョン・ブランの鮮やかな酸味と芳醇な果実味を引き立てるよう特別にデザインされています。軽量でバランスが良く、初心者から上級者まで幅広く使用可能です。


おすすめグラス2: ザルト ユニバーサルグラス

特徴: ソーヴィニョン・ブランに加え、リースリングやその他の軽快な白ワインにも適しています。極薄のガラスで作られており、ワインの繊細なニュアンスを最大限に引き出します。


比較:リースリングとのグラス選びの違い
リースリング専用グラスは、酸味をさらに際立たせる形状が採用されることが多いですが、ソーヴィニョン・ブランでは香りの幅を広げるための設計が優先される傾向があります。


ソーヴィニョン・ブランの熟成ポテンシャル

一般的に、ソーヴィニョン・ブランは早飲みのワインとされていますが、特定の地域やスタイルでは熟成による味わいの進化を楽しむことも可能です。

早飲みタイプ
ニュージーランドのマールボロやフランスのサンセールといった辛口のスタイルは、収穫から1~2年以内に飲むことでフレッシュな酸味と果実味を楽しむことができます。

熟成型のソーヴィニョン・ブラン
プイイ・フュメ(フランス・ロワール地方)の一部や、ボルドーブレンドでは、5~10年の熟成によりミネラル感や蜂蜜のような複雑な風味が加わります。これらのワインは、熟成によるテロワール表現の変化を楽しむ上級者向けといえるでしょう。

比較:シャルドネとの熟成の違い
シャルドネはオーク樽を使用した場合、熟成によりナッツやバターのような風味が増します。一方、ソーヴィニョン・ブランはフレッシュなアロマを維持しながら、ミネラル感や蜂蜜のような香りが現れるのが特徴です。


これらのポイントを押さえることで、ソーヴィニョン・ブランの魅力を存分に引き出し、より深い楽しみ方ができるでしょう。

§2.ソーヴィニョン・ブランと料理のペアリング

ペアリングの基本ルール

ソーヴィニョン・ブランは、その高い酸味とアロマティックな香りが特徴で、料理との相性を考える際にはいくつかの基本ルールを意識することが重要です。

酸味とのバランス
ソーヴィニョン・ブランの酸味は、酸味を持つ料理と調和します。例えば、レモンを使った料理やトマトベースの料理と合わせると、酸味が互いを引き立て、爽やかな味わいが生まれます。

香りとの相性
青草や柑橘系、トロピカルフルーツのアロマを持つソーヴィニョン・ブランは、ハーブや香り豊かな食材とよく合います。例えば、バジルやディルを使った料理は、ワインの香りを引き立てる効果があります。

軽やかな料理がベスト
軽やかでフレッシュな味わいのソーヴィニョン・ブランは、重すぎない料理と相性が良いです。クリーム系ソースのようなリッチな料理よりも、シンプルで繊細な味付けの料理を選びましょう。


おすすめの料理例

シーフード料理

ソーヴィニョン・ブランは、新鮮なシーフードと抜群の相性を誇ります。

ホタテのカルパッチョ
レモン汁やオリーブオイルを使ったシンプルな味付けが、ワインの酸味を引き立てます。

スモークサーモンとディルのサラダ
サーモンの風味とディルのハーブ感がワインのアロマとマッチします。

牡蠣の白ワイン蒸し
牡蠣のミネラル感がソーヴィニョン・ブランのフレッシュな酸味と調和します。

ハーブを使った料理

ハーブの香りは、ソーヴィニョン・ブランの青草や柑橘系のアロマと見事にマッチします。

ジェノベーゼパスタ
バジルのフレッシュな風味がワインと絶妙なバランスを生み出します。

ローストチキン with タイムとローズマリー
ハーブの香りがワインのアロマティックな特性を際立たせます。

和食とのペアリング

日本料理の中でも、ソーヴィニョン・ブランと相性が良いものがあります。

白身魚の刺身(ポン酢添え)
酸味のあるポン酢がワインと調和します。

枝豆の塩茹で
シンプルな塩味がワインのフレッシュな酸味とマッチ。

天ぷら(特にエビやシソ)
衣の軽やかな食感とワインの爽やかさが心地よいペアリングを実現します。

避けたい料理例

甘味が強い料理

甘味の強い料理は、ソーヴィニョン・ブランの酸味を過度に強調し、味のバランスを崩すことがあります。

照り焼きチキン
砂糖やみりんをたっぷり使った甘辛い味付けがワインの酸味を浮き立たせ、不快に感じることがあります。少しでも相性をよくするには、砂糖やみりんを控えめにし、レモンを搾ることで酸味を補い、ワインのフレッシュさと調和させます。

甘酢あんかけ
酢の酸味がワインと衝突し、甘味が浮いてしまいます。甘酢あんかけを食べる場合は、野菜や魚をメインにして具材の自然な甘さを生かした軽めの味付けにすることで相性が良くなります。


辛味が強い料理

辛味の強い料理は、ソーヴィニョン・ブランのフレッシュな香りや酸味を遮り、全体のバランスを崩します。

麻婆豆腐
花椒や唐辛子が効いた辛味がワインを圧倒します。味を控えめにし、豆腐のクリーミーさを強調することでワインの酸味とバランスを取りやすくなります。

スパイシーチキンウイング
濃厚な辛さがワインの繊細な特徴を隠してしまいます。辛味を抑えたハーブ系マリネ(例:レモングラスやタイム)に変更することで、香りと酸味が調和します。


過度に重たい料理

バターやクリームを多用した濃厚な料理は、ソーヴィニョン・ブランの軽やかさに不釣り合いになることがあります。

クリームパスタ
リッチなソースがワインの酸味やフレッシュさを圧倒します。ソースにレモンやハーブを加えて爽やかさをプラスするとワインとの相性が向上します。

グラタン
濃厚なホワイトソースとワインのバランスが取りづらくなります。バターを減らし、トマトやズッキーニなどの野菜を多めに使うことで、軽やかな印象を与えます。


照り焼きや濃厚なタレを使った料理

濃厚なタレは、ワインの繊細な香りを隠し、酸味が突出する原因になります。

うなぎの蒲焼き
甘辛いタレがワインの特性と相性が悪いですが、タレを控えめにして、ワインビネガーを少し加えたさっぱりとしたタレに変更することで、酸味との調和が取れます。

焼き鳥(タレ)
砂糖を多用したタレが甘味と酸味の不均衡を生む可能性があります。焼き鳥はタレではなく塩で仕上げ、シンプルな味付けにすることでワインの爽やかさが活きます。


揚げ物で濃い味付けのもの

濃い味付けの揚げ物は、ワインの酸味や軽やかな果実味を打ち消す場合があります。

唐揚げ(濃い醤油ベースの下味)
濃厚な味付けがワインを重たく感じさせます。柑橘類を使った和風ソース(例:ポン酢+ゆず胡椒)を添えると、ワインとの相性が良くなります。

とんかつ(ソースたっぷり)
ソースの甘味や濃厚さがワインと対立します。ソースの代わりに、レモンや塩でシンプルに仕上げることで、ワインと調和します。


避けたい料理も、少しの工夫でソーヴィニョン・ブランと相性が良くなることがあります。調味料を控えめにしたり、酸味やハーブを追加することで、ワインの特徴を引き立てるペアリングが可能になります。家庭でのアレンジを楽しみながら、ワインとの調和を見つけてください。

§3.おすすめのソーヴィニョン・ブラン❺選

ワイン選びに迷ったときは、品種探求シリーズの筆者がおすすめする5本を参考にしてみてください。今回はフランス、ニュージーランド、アメリカから厳選し、それぞれの産地の個性を活かしたソーヴィニョン・ブランをご紹介します。


ミッシェル トマ・サンセール
(フランス・ロワール)

ロワール地方の名高いサンセールで生まれるこのワインは、ソーヴィニョン・ブランの真髄ともいえるミネラル感と柑橘系の香りが際立っています。口当たりはクリスプで、繊細な酸味が料理との相性を抜群に引き立てます。フランス料理はもちろん、シンプルなシーフード料理とも抜群のペアリングを楽しめます。

ミッシェル トマは、数世代にわたりワイン造りを続ける家族経営のワイナリー。伝統的な手法と現代的な技術を巧みに組み合わせ、テロワールの魅力を最大限に引き出したワイン造りをしています。

ソーヴィニョン・ブランのクラシックな魅力を味わいたいなら、ミッシェル トマ・サンセールがおすすめ。特別なディナーや贈り物にも最適です。



レ ザルム ド ラグランジュ
(フランス・ボルドー)

ボルドー白ワインの代表的なスタイルを楽しめる一本。ソーヴィニョン・ブランにセミヨンを少量ブレンドすることで、丸みを帯びた味わいと芳醇な果実の香りを兼ね備えています。白桃やアカシアの花、ほんのりとしたバニラのニュアンスが感じられます。

ラグランジュは格付けワインで知られる名門シャトー。赤ワインが中心のボルドーではありますが、白ワインも隠れた人気があります。シャトー ラグランジュが手がける白ワインである「レ ザルム ド ラグランジュ」は、この地方で手軽に上質なボルドーワインを楽しめるシリーズとして人気を集めています。

リッチで複雑な白ワインを探している方にぴったり。フレンチビストロ風の料理と合わせれば、ワンランク上の食卓に早変わりします。


ブランク キャンバス ・ソーヴィニョンブラン ホールドアウェイ ヴィンヤード
(ニュージーランド・マールボロ)

マールボロ地方の単一畑から生まれるこのワインは、ソーヴィニョン・ブランのフレッシュさとエレガンスを極限まで引き出しています。熟したグレープフルーツやライム、ほのかなトロピカルフルーツの香りが広がり、後味には心地よいミネラル感が残ります。

ブランク キャンバスは、品質にこだわる少量生産のワイナリーで、個性豊かなワインを追求しています。ホールドアウェイ ヴィンヤードは特にその個性が際立つ区画です。

特別な瞬間を彩る一本。友人とのホームパーティーや休日のリラックスタイムにぜひお試しください。


フォリウム・ソーヴィニョン ブラン リザーヴ
(ニュージーランド・マールボロ)

熟成による複雑味が楽しめるリザーブシリーズ。スタンダードなソーヴィニョン・ブランよりも奥行きがあり、香りには熟したレモンや白い花、ハーブのニュアンスが豊かに感じられます。口当たりは滑らかで、酸味と果実味が見事に調和しています。

フォリウムは、サステナビリティと品質に注力するワイナリー。オーガニック農法を採用し、自然との調和を大切にしたワイン造りをしています。

環境にも配慮したワインをお探しなら、フォリウムのリザーブがおすすめ。大切な人との特別な時間にぴったりの一本です。熟成したソーヴィニョン・ブランのポテンシャルに驚くこと間違いなし。


ケンゾー エステート・アサツユ
(アメリカ・カリフォルニア)

日本の四季をイメージしたラベルが象徴的な「アサツユ」は、ソーヴィニョン・ブランの優雅さと繊細さを見事に表現しています。青リンゴやライム、白い花のような香りが広がり、滑らかな酸味が特徴。カリフォルニア特有の温暖な気候がもたらすフルーティーさと、日本の感性に寄り添った洗練された味わいを兼ね備えています。

ケンゾー エステートは、元々はゲーム業界の巨匠が手がけたワイナリー。ナパの一等地で、世界的評価を受けるワインを生み出しています。

まだ、飲んだことがないんのであれば、一度は飲むべき。ワインの常識が変わります。ワイン好きな方へのギフトとしても人気の一本。日本文化とカリフォルニアの融合を楽しんでみてください。



どのワインも、ソーヴィニョン・ブランの魅力を最大限に引き出した逸品ばかりです。それぞれの産地やスタイルの違いを楽しみながら、自分にぴったりの一本を見つけてください。

§4.まとめ

品種探求シリーズとして取り上げたソーヴィニョン・ブランは、初心者にも分かりやすい特徴と、奥深い専門性を兼ね備えたワイン品種でした。前編では、その基本的な特徴や魅力、歴史とルーツを掘り下げ、中編では主要産地ごとのスタイルと栽培・醸造技術について詳しく解説しました。そして後編では、具体的な楽しみ方やおすすめのワインを紹介し、ソーヴィニョン・ブランの多様性と魅力を幅広くお届けしました。

このシリーズを通じて、ソーヴィニョン・ブランが持つフレッシュな酸味と豊かなアロマ、そして世界中で愛される理由を改めて感じていただけたのではないでしょうか。飲み手の経験や目的に応じて、適切な産地やスタイルを選ぶことで、より深くワインを楽しむことができます。

これからも、品種探求シリーズを通じてさまざまなワインの魅力をお届けしていきます。次回もどうぞお楽しみに!

お買い物はこちら お買い物はこちら