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【ソムメモ】『産地別、解説とおすすめワイン』 チリ編

【ソムメモ】『産地別、解説とおすすめワイン』 チリ編

ワインの味わいの違いを最も左右する『生産地』。

ピノノワールは非常に繊細なブドウ品種であるため、この 『生産地』 ごとの土壌や気候造り手などの特徴がはっきりでます。

産地ごとにワインを選ぶこともピノノワールワインを楽しむ醍醐味の一つです。

”ソムメモ 産地別、解説とおすすめワイン”シリーズでは産地ごとのピノノワールの特徴とCLUB PINOT NOIRおすすめ商品を紹介致します。 

今回は、”チリワインの歴史と革新”について。

ぜひあなたにピッタリのワインをお探しください!

目次

長い歴史から進化を遂げた『チリワイン』

多様性に富むチリワイン、品種別おすすめワイン

  1. カベルネ・ソーヴィニヨン
  2. カルメネール
  3. メルロ
  4. ソーヴィニョン ブラン
  5. ピノ ノワール

まとめ

長い歴史から進化を遂げた『チリワイン』

植民地時代、宗教用に生産された”パイス”

実は、チリワインの歴史は長く、遡ること16世紀初頭。スペイン人のコンキスタドール(征服者)がチリに到着したことに始まります。彼らはスペイン本国から持ち込んだブドウの苗木を植え、ミサ(カトリック教会においてパンと葡萄酒を聖別して聖体の秘跡が行われる典礼)のためにワインを生産しました。これがチリのワイン生産の始まりです。

その時に生産されたのが”パイス”というブドウ品種。乾燥、高温、病疫に強く、収穫量が高いパイス。チェリーなどのアロマがあり、フルーティーでタンニン飲みやすい軽快な味わいが特徴的な赤ワインです。

初期のワインは宗教的な儀式や植民地の需要を満たすために生産されましたが、乾燥やワイン特有の病気に耐性の強いパイスは扱いやすく、やがてチリワインの代表として国内外で人気を博するようになりました。

1990年代 経済の自由化により大きな変革を遂げる

長い間、チリワインは国内需要に主眼を置いていたため、国際的な市場での知名度や評価は限定的でした。しかし、1990年代に入り、チリのワイン産業は大きな変革を遂げました。政治的な変革と経済の自由化により、輸出市場へのアクセスが拡大し、ワインの品質向上と多様性に注力する機会が生まれました。

ワイン生産者は、畑の管理を改善し、ブドウの栽培により適した地域やマイクロクリマ(微気候)を見つけ、気候や土壌の多様性を活用して、異なる品種の栽培が進められました。特に、カルメネールのような独自の品種がチリで再発見され、国際的な注目を集めることになりました。

同時に、新しいワイナリーや生産者が登場し、伝統的なワイン製造技術と最新の科学的手法を組み合わせて、ワインの品質とスタイルの多様性を向上させました。

持続可能なワイン生産に挑むチリワイン

多くのワイナリーが有機栽培やバイオダイナミック栽培を導入し、環境への配慮を重視しています。これにより、環境に優しいワインの生産が進み、Wines of Chile USAのExecutive Director フリオ・アロンソ氏によると、チリのブドウ園の80%以上が持続可能性認定を受けています。

現在、チリは世界有数のワイン生産国の一つとして認知されており、品質の高いワインを世界中に送り出しています。その成功は、長い歴史と革新的なアプローチによるものであり、ワイン愛好家からの評価を受けています。

多様性に富むチリワイン、品種別おすすめワイン

チリは南アメリカに位置し、縦に細長い地形が特徴的で、赤道から南極までもをカバーする程の大きさです。この特徴的な地形のおかげで東西南北で様々な気候に囲まれてます。そのため多種多様な品種の栽培をすることができ、ブドウの品種によって、産地ごとに表情の違うワインを楽しむことができます。

そんなバライティ豊かなチリワインのオススメを品種ごとに紹介いたします。

カベルネ・ソーヴィニヨン

チリのカベルネソーヴィニョンは、世界的に有名な赤ワインの品種の一つであり、チリの気候と土壌が生み出す特有の特徴が際立っています。

まず、チリは南米の中でも特有の地理的条件に恵まれています。太平洋に面する長い海岸線と、アンデス山脈によって形成された自然のバリアが、植物病原菌の侵入を防ぎ、ほぼ有機農法で栽培することが可能です。これによって、カベルネソーヴィニョンの品種が病気に強く、安定して高品質なブドウを収穫できるのです。

さらに、チリの気候は理想的です。太平洋から吹く冷たい海風と、アンデス山脈の影響で、夏の間は暑くて乾燥した日中と、夜間は涼しくなる条件が揃っています。この日夜の寒暖差が、ブドウの成熟を遅らせ、果実に複雑な風味をもたらすと共に、適度な酸味を保ちます。これによって、カベルネソーヴィニョンのワインはフルボディで力強く、しっかりとしたタンニンと豊かなフルーティーな香りが特徴となります。

カベルネソーヴィニョンは、しっかりとした構造と複雑な風味から、長期熟成に適した品種としても知られています。チリのワイナリーは、樽熟成によってワインを磨き上げることが多く、複雑な味わいを持つエレガントなワインを生み出すことができます。

最後に、チリのカベルネソーヴィニョンは品質とコストのバランスが取れているのも魅力的です。他の有名なワイン産地と比べると、手頃な価格で高品質なワインを楽しむことができます。

総じて、チリのカベルネソーヴィニョンは、素晴らしい気候と土壌条件がもたらす複雑な風味と高品質なワインを生み出す品種です。ワイン愛好家にとって、チリのカベルネソーヴィニョンを試すことは、新たなワインの旅を楽しむ絶好の機会と言えるでしょう。

【ソムリエ厳選】チリのカベルネ ソーヴィニョンのワイン

【コンチャイトロ・カッシェロ デル ディアブロ レセルバ プリバダ カベルネ ソーヴィニヨン】

超有名ブランドのワインですが、そのクオリティは目を見張るものがあります。マイポ ヴァレー産のカベルネ ソーヴィニョンは、果実味と渋みのバランスがとれていて、重厚ながら杯がすすむ上質な出来です。

以前の安くて美味しい「チリカベ」とは一線を画すクオリティです。

カルメネール

カルメネールは、チリが誇るもう一つの特徴的な赤ワインの品種です。元々はフランスのボルドー地方で栽培されていましたが、19世紀にフィロキセラ被害によってフランスで絶滅し、その後チリに持ち込まれました。チリの気候と土壌条件が、カルメネールを再発見し、栽培する絶好の環境となったのです。

カルメネールの特徴は、その豊かなフルーツの風味と複雑なアロマにあります。特にブラックベリーやブラックチェリーのような濃厚なフルーツの香りが強く、スパイスや青い花のニュアンスも感じられます。また、特徴的なハーブや煙のニュアンスもカルメネールによく現れます。

チリの気候の影響で、カルメネールは十分な熟成期間を得て、しっかりとしたタンニンとバランスの取れた酸味を備えたワインに仕上がります。熟成させると、香りや風味がより複雑になり、滑らかでエレガントな口当たりを楽しむことができます。

カルメネールは、チリのワイン産業において重要な役割を果たしています。チリのワイナリーは、カルメネールを他の品種とブレンドすることで、他のワインに個性的な特徴を与えることもありますが、純粋なカルメネールも多く生産されています。

また、チリのカルメネールは、コストパフォーマンスにも優れています。高品質のワインを手頃な価格で提供できることから、多くのワイン愛好家に人気を博しています。

総括すると、カルメネールはフルーティで複雑なアロマを持ち、チリの気候と土壌が育む特有の特徴を持つ赤ワインの品種です。チリのワインを探求する際には、カルメネールを試してみることをおすすめします。

【ソムリエ厳選】チリのカルメネールのワイン

【モンテス・アルファ カルメネール】

このワイナリーから現在のハイクオリティなチリワインが世界に広まったと言っても過言ではありません。

チリのワイン産地の中心地であるセントラル ヴァレーから上質なブドウのみをセレクトして造られるこのワインは、カルメネール特有の熟したプラムの品のある香りが漂います。

一般的なカルメネールは、ジャムっぽい印象や、まったりとした味わいがあり、飲み疲れるワインも少なからずありますが、こちらのワインはしっかりと酸味もあり、重たさと爽やかさが共存している、新しいスタイルのカルメネールワインです。

メルロ

メルローは、ボルドー地方を代表する赤ワインの品種であり、チリでも広く栽培されている人気のある品種です。チリの気候と土壌が、メルローの特性を引き出すのに適しているため、多くのワイナリーが優れたメルローのワインを生産しています。

メルローの特徴は、柔らかく繊細なタンニンと豊かなフルーツの香りにあります。特にプラムやチェリー、ブラックベリーの風味が強く、時にはスパイスやチョコレートのニュアンスも感じられます。ボルドーの他の品種とのブレンドにもよく使用され、ワインに複雑性とバランスを加えるのに役立ちます。

チリの気候は、メルローの成熟に適しています。日中の暑さと夜間の冷涼な気候が、メルローの果実を十分に成熟させるのに適しています。このような条件の下で栽培されたメルローは、フルーツの風味が豊かで酸味がバランスよく、滑らかで飲みやすい特徴を持つことが一般的です。

メルローのワインは若いうちから楽しむことができますが、適切な熟成を経ることでより複雑な風味を楽しむことができます。特に木樽での熟成を経ることで、香りや風味がより深化し、絹のような滑らかな口当たりを持つワインに仕上がります。

メルローはチリの他の品種と同様に、コストパフォーマンスに優れたワインとして評価されています。高品質なメルローを手頃な価格で入手できるため、多くのワイン愛好家にとって魅力的な選択肢となっています。

まとめると、チリのメルローは柔らかなタンニンとフルーツの豊かな香りが特徴で、適した気候と土壌条件によって質の高いワインが生産されています。飲みやすさと複雑性を兼ね備えたメルローのワインは、ワイン愛好家にとって楽しむ価値のある品種と言えるでしょう。

【ソムリエ厳選】チリのメルローのワイン

【テラノブレ・メルロ グラン レゼルバ】

チリのテロワールを体現できるハイコストパフォーマンスワインです。メルローの滑らかな質感、バニラや濃いベリーの香りがあり強過ぎないタンニンが上品に余韻に広がります。

チリ最大のマウレヴァレー産のメルローは複雑性を楽しむというよりは率直で昔懐かしさを感じるチャーミングで安心感のある一本です。

ソーヴィニョン ブラン

ソーヴィニョン・ブランは、フランスを代表する白ワインの品種であり、世界中で広く栽培されている人気のある品種です。チリでも気候と土壌条件が適しているため、多くのワイナリーが優れたソーヴィニョン・ブランのワインを生産しています。

ソーヴィニョン・ブランの特徴は、爽やかでフレッシュな果実の風味と高い酸味にあります。特にグレープフルーツや青リンゴ、パッションフルーツのような鮮やかなフルーツの香りが特徴的で、時にはハーブやミネラルのニュアンスも感じられます。

チリの気候は、ソーヴィニョン・ブランの成熟に適しています。日中は暑く、夜間は涼しいという気候条件が、果実の熟成を遅らせ、フレッシュな風味や酸味を引き出すのに適しています。また、海からの影響によってもたらされる涼しい風が、ワインに爽やかな特性をもたらします。

ソーヴィニョン・ブランのワインは若いうちから楽しむことができますが、熟成によって風味がより複雑になることもあります。しかし、一般的には若いうちに飲むことが推奨されます。冷涼な気候で栽培されたソーヴィニョン・ブランは特に酸味が際立ち、爽やかで軽やかな飲み口を持つことが特徴です。

チリのソーヴィニョン・ブランは、手頃な価格で高品質なワインを手に入れることができるため、多くのワイン愛好家にとって魅力的な選択肢となっています。特に暑い季節には、その爽やかな風味がさわやかな気分を呼び起こしてくれるでしょう。

まとめると、チリのソーヴィニョン・ブランは爽やかな果実の風味と高い酸味が特徴で、チリの気候と土壌が育む条件によって高品質なワインが生産されています。フレッシュで爽やかなワインを楽しむ際には、ソーヴィニョン・ブランを選んでみることをおすすめします。

【ソムリエ厳選】チリのソーヴィニョンブランのワイン

【コノスル ソーヴィニヨン・ブラン レゼルバ・エスペシャル ヴァレー コレクション】

カサブランカ ヴァレーというチリの中でも冷涼な産地で、高品質でスタイリッシュなワインが続々と生まれていますが、コノスルはこの地でも先陣を切って生産を始めたパイオニア的な造り手です。

自転車のエチケットがおなじみで、カジュアルなデイリーワインのイメージが強いコノスルですが、実はチリの中でもトップクラスのワインを生産する造り手でもあります。

こちらのソーヴィニョン ブランは世界中のソーヴィニョン ブランの中でも引けを取らないクオリティを誇り、チリのポテンシャルの高さを存分に堪能できる一本です。

ピノ ノワール

ピノノワールは、世界中で最も栽培が難しいとされる品種の一つですが、その繊細で洗練された風味から多くのワイン愛好家を魅了しています。特にチリの気候と土壌条件が、ピノノワールの成長と特性を最適化するのに理想的な環境を提供しています。

ピノノワールの特徴は、その多彩な風味にあります。特に赤いチェリーやラズベリー、ストロベリーのリッチな果実の香りが際立ちます。さらに、時にはスパイスやバニラのニュアンス、そして土壌の特性がワインに複雑性を与えることもあります。また、ピノノワールは非常に繊細な品種であるため、醸造家の技術が重要になります。

チリの気候はピノノワールに適しているとされる「涼しい気候」に位置しています。太平洋から吹く冷たい海風が、ブドウの成熟を遅らせ、風味を豊かにするとともに、酸味を保つのに役立ちます。また、涼しい夜間の気温が果実の熟成を均等に促進し、鮮やかな風味を生み出します。

チリのピノノワールは、しばしばフルーティでエレガントな特性を持つとされ、他の産地のピノノワールとは異なる個性を示すことがあります。また、樽熟成による熟成を経ることで、より複雑性のある風味を楽しむこともできます。

ピノノワールは他の品種よりも難しいとされますが、その洗練された風味と高品質なワインを生み出す可能性から、多くのワイナリーが挑戦を続けています。ワイン愛好家にとっては、ピノノワールのワインはその個性と独自性を楽しむ絶好の選択肢となることでしょう。

まとめると、チリのピノノワールは繊細で洗練された風味を持ち、多彩なフルーツの風味と複雑性が魅力の一つです。涼しい気候と適切な技術によって生産されるピノノワールのワインは、ワイン愛好家にとって楽しむ価値のある品種と言えるでしょう。

【ソムリエ厳選】チリのピノノワールのワイン

【ベティッグ / ロス パリエンテス ヴィーノ デ ヴィニエド ピノノワール】

新進気鋭という言葉がぴったりの造り手です。

19世紀前半、スイスから新天地を求めてトライゲン村に移り住んだベティッグ家は、チリワイン初となる<100点満点ワイン>を3度生み出し、2016年には「世界最優秀醸造家」にノミネートされる等、「ヴィーニャ・エラスリス」のチーフワインメーカーとして、世界的に高い評価を博してきました。

2013年、フランシスコの従弟から土地を購入し、植樹を開始し、チリ最南端のヴァレイでワイン生産を開始しています。

ロス・パリエンテスは親戚/家族の仲間の意です。

ワインは、輝きがあり透明感あるラズベリーレッド。フレッシュなミックスベリーの香りにスマートなスミレの香りがスタイリッシュさを感じさせます。キレのある酸味とふくよかなタンニンがあり、アフターにかけてヴォリュームのあるフルーツや土の香りが溢れ出します。非常に充実感ある一本です。

まとめ

チリワインはコスパがよく、安価なイメージを持っている方もいると思いますが、近年ではクオリティの高い高級なワインも増えています。

歴史とともに進化を遂げた、多種多様で味わい深いチリワインをぜひご賞味ください。

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